”City Light”
京都は、五条通り(R9)の天神川交差点を北上し、
R162を高雄に向かって走る。

途中、福王子の交差点を過ぎ、
周山街道と呼ばれるこの道を
しばらく行くと右手に、
明かりに照らされた”City Light”の文字が見えてくる。
交通量の少なくなった道をUターンし、
石垣沿いの短いアプローチを上りきると、
左手にある一見納屋のような建物とは、
対照的な小洒落た店が現れる。
店の前は、テラス・スペースと
5〜6台は置けそうな駐車場があり、
店内の落ち着いた照明の光が外に漏れている。
このあたりは、梅ヶ畑と呼ばれ、高雄の入り口のようなところで、
厳冬時には、降雪のため一面銀世界に包まれることもあるという場所なのだが、
この店の名前が、どうして”City Light”なのかという疑問は、以前から持っていた。
しかし、もうすでに、20年以上もこの店が歴史を刻んできたことを知れば、
そんな疑問すら、どうでも良いものに思えてくるのは、
他にはないレイド・バックしたこの店の雰囲気によるものなのだろうか。

あとで聞くところによると、
この店を作るに当たっては、ザ・バンドの’68”Music From Big Pink”で
有名になったニューヨーク北部郊外のウッドストックにあるミュージックハウスの精神を
モチーフにしたということだった。
マスターは年季の入ったドラマーで
店内は、ミュージシャンが営む店らしく、
ギターなどの楽器や、ライブのポスターなどが目に付く。
奥のカウンターには、いつも数人の常連の顔が見える
多くは、音楽仲間たちだ。
カウンターの左手にガラス戸があり、
その奥が録音設備のあるレンタル・スタジオになっていて、
ミュージシャンたちの格好の練習場所となっている。

このスタジオの制作に当たっては、”Sleazy Horse”のギターリストで
ここで働いているMr.Yokoが大きく関わって出来たものだと聞いた。
マスターと氏とは、ともに同じバンドで演奏していた仲間である。
月に一回、ここで”Sleazy Horse”は練習に励む。
夜の10時から12時までの2時間がバンドとしての練習時間である。
あとは、それぞれ自宅にての個人練習。
短い時間だが、メンバーの揃う練習はいつも充実している。
わずか2時間のために神戸から京都まで?・・・と人は言うが、
私以外のメンバーが京都在住であるから、当然のことであって、
それ以上に、月に一度、ここ”City Light”にやってきては
彼らと、演奏できることを何より楽しみにしているのである。
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追記・・・’02の幕引きとともに、City Lightもその歴史を閉じた。(’03.8.30)
City Light
STUDIO&FOOD.DRINK.CAFE
京都市右京区梅ヶ畑清水町16
пF075−862−7390
OPEN 12:00〜CLOSE 12:00